足を踏み入れた人々がまず息をのむのは、フロアごとに異なる作品世界がシームレスに交差する空間設計だ。緑豊かなエントランス周辺には『となりのトトロ』を想起させる深い森の気配が漂い、苔むした岩肌や水滴の滴る音が心地よいリズムを刻む。都会の喧騒は遮断され、木漏れ日を模した柔らかな間接照明が足元を照らし出す。
奥のダイニングエリアへと歩みを進めると、今度は『千と千尋の神隠し』の油屋を彷彿とさせる艶やかな木製カウンターと、深紅のファブリックが視界を支配する。決して派手な原色に頼るのではなく、どこか埃っぽく、それでいて艶やかな質感。宮崎駿がこだわり続ける「生活感のあるファンタジー」のリアリティが、建具の継ぎ目やタイルの擦れ具合にまで徹底して宿っている。