2002年に「第27回ホリプロタレントスカウトキャラバン」でグランプリを獲得し、華々しく芸能界入りを果たした石原さとみ。NHK朝ドラヒロインをはじめ、数々のドラマや映画で「清純で可憐な美少女」の代名詞として愛されていました。しかし、2008年当時21歳を迎えていた彼女の胸中は、世間が抱く理想像とは裏腹に、深刻な閉塞感と葛藤に苛まれていたことが当時の手記やドキュメンタリー取材で明かされています。
周囲から求められる「石原さとみらしさ」を演じることに限界を感じ、敷かれたレールの上を歩むだけの自分に強い危機感を抱いていた彼女が求めたのが、既存のイメージを破壊してくれる圧倒的な「試練」でした。その舞台こそが、PARCO劇場などで上演されたつかこうへい作・演出の舞台『幕末純情伝』だったのです。
関係者の証言によると、事務所側も当初はその過激な台詞回しや激しい肉体表現から出演に慎重な姿勢を見せていたとされます。しかし、本人の「自分を変えたい」「女優として本当の実力を身につけたい」という強い直訴が実を結び、異例の抜擢が実現しました。安全地帯を飛び出し、演劇界で最も過酷と恐れられるつかこうへいの門を叩いた決断こそが、後の大ブレイクを引き寄せる第一歩となりました。