就職難易度以上に深刻なのが、大学そのものの経営破綻と募集停止のリスクです。18歳人口の急激な減少に伴い、定員割れが常態化した私立大学では、学費収入の減少から施設維持や教員確保が困難になる「教育環境の劣化スパイラル」が発生しています。
すでに複数の私立大学が民事再生法の適用を申請したり、系列中高への資源集中のために大学部門の学生募集停止を発表したりする事例が相次いでいます。在学中や卒業後に母校が消滅・統合された場合、以下のような実害が生じるリスクがあります。
- 卒業証明書や成績証明書の発行手続きが他法人や公的機関へ移管され、手続きに多大な時間を要する
- 母校のブランドそのものが消失し、出身校としての社会認知度が失われる
- 在学中のカリキュラム縮小や非常勤講師化が進み、教育の質が低下する
ネット上の評判では「学歴コンプレックス」ばかりが論点になりがちですが、実社会における最大の盲点は「4年間で数百万円の学費を投資した機関が存続し得るか」という財務リスクです。大学ポートフォリオを検討する際は、財務諸表の公開状況や過去3年間の定員充足率を精査する視点が欠かせません。
【プロの結論】進学で後悔しないための判断基準|おすすめできる人・慎重になるべき人
教育投資に対する費用対効果(ROI)とキャリア形成の観点から、偏差値35未満・ボーダーフリー大学への進学を選択すべき人と、進路を見直すべき人の判断基準を提示します。
進学を選択しても後悔しない人の条件:
- 取得したい国家資格が明確に定まっている人(看護、作業療法、言語聴覚、幼保連携など、学歴よりも資格保持が就業条件となる分野)
- 地元企業への就職を第一希望とし、地元ネットワークを活用したい人
- 高校までの学力に自信がないが、手厚い個別指導体制で学び直したい人
進学を強く再検討・慎重にすべき人の条件:
- 大手企業の総合職や有名企業への就職を漠然と希望している人(学歴フィルターの存在により、エントリー段階で弾かれる確率が極めて高い)
- 明確な目的がなく、「大卒資格」だけを目当てに多額の奨学金を借りて進学する人(卒業後の返済負担と初任給の水準が見合わないリスク)
- 周囲の学習意欲やキャンパスの知的刺激に影響を受けやすい人
家族社会学や心理学の知見では、親が子どもの「大学生」という肩書を維持したいがために多額の借入を行い、結果として卒業後に子が奨学金破産に追い込まれる「共依存型の教育投資」が問題視されています。冷静な境界線(バウンダリー)を引き、専門学校でのスキル習得や高卒での優良企業就職を含めた多角的な進路比較を行うことが賢明です。