東北屈指の景勝地として知られる福島県ですが、旅行計画を立てる際に最も多く発生する勘違いが「五色沼」という名称の重複です。一般的に観光ガイドで大々的に紹介されるのは、裏磐梯(北塩原村)の平地に広がる「五色沼湖沼群(毘沙門沼や青沼など)」であり、こちらは遊歩道が整備され軽装での散策が可能です。
一方、登山者の間で「魔女の瞳」あるいは「吾妻の瞳」と崇められる五色沼は、磐梯吾妻スカイラインの最高地点近くに位置する「一切経山」の山頂を踏破した者だけが眼下に望める火口湖を指します。直径約300m、すり鉢状の荒涼とした火口壁の底に突如現れるその佇まいは、整備されたリゾート地の池とは一線を画す圧倒的な迫力を誇ります。
2026年現在も、この両者を混同して「手軽な観光気分で一切経山に向かい、登山口で引き返した」というトラブルが後を絶ちません。魔女の瞳を目指す場合は、標高約1,600mの浄土平からスタートし、岩屑が転がる高山帯を歩く本格的なトレッキング装備が必須となります。