中孝介の「花」は、日本国内にとどまらず、台湾、香港、中国本土をはじめとする中華圏全域で驚異的なヒットを記録しました。
中華圏において、中孝介の歌声は「地球上で最も心を癒やす声(地表最溫柔的聲音)」と絶賛され、香港のトップスターであるアンディ・ラウ(劉徳華)が広東語で「一」というタイトルでカバーしたほか、多くの有名アーティストがこぞってカバー楽曲を発表しました。さらに、2008年に台湾歴代映画興行収入記録を塗り替えた大ヒット映画『海角七号 君想う、国境の南』に中孝介本人が本人役および教師役の二役で特別出演したことで、その知名度と人気は不動のものとなりました。
なぜここまで中華圏で熱烈に受け入れられたのか。東洋音楽史の研究者によると、中国伝統楽器(二胡など)の滑音(ポルタメント)と、奄美島唄の「グイン」が持つ音響的周波数の親和性が極めて高かったことが指摘されています。異国の音楽でありながら、どこかDNAレベルで懐かしさを感じさせる音像構造が、国境を越えた共鳴を引き起こしたのです。