この大規模な被害の発端は、1948年(昭和23年)に施行された旧予防接種法にあります。当時、結核や天然痘などの感染症撲滅を掲げた国は、国民に対して集団予防接種を法的に義務付けました。しかし、現場の学校や公的施設では、児童1人ごとに注射針や注射筒を取り替えることなく、複数人に連続して突き刺す「注射器の使い回し」が全国規模で常態化していました。
WHO(世界保健機関)が注射器の連続使用による感染リスクを警告していたにもかかわらず、厚生省(現厚生労働省)が使い回しの禁止を明確に通達したのは1988年(昭和63年)のことです。実に約40年間にわたり、感染拡大のリスクが放置されていたことになります。
1989年に北海道の感染者5名が国を相手取って損害賠償請求を起こし、2006年の最高裁判決で国の過失責任が確定しました。その後、2011年6月に国と全国原告団・弁護団との間で基本合意書が締結され、翌2012年1月に「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法(B型肝炎特措法)」が施行されました。法的な枠組みが整備されたことで、裁判所の和解手続きを経ることで迅速に給付金が支払われる現行制度が確立したのです。