かつて全国に300店舗以上を展開し、年間売上高数千億円を誇った巨大中古車ディーラーのコックピットに座っていた面々は、いまどこで何をしているのでしょうか。2026年7月の引責辞任劇から現在に至るまで、旧経営陣の明暗は残酷なまでに分かれています。
創業者である兼重宏行元社長の現在は、東京都目黒区内に構える敷地面積数百坪とも言われる要塞のような大豪邸に留まり、公の舞台に現れることは一切ありません。辞任会見で見せた「ゴルフボールを靴下に入れて叩くなど、ゴルフを愛する人への冒涜です」「私自身は天地神明に誓って知らなかった」という釈明は世間の猛反発を招きましたが、それ以降、本人の口から直接的な反省の言葉が語られる機会は失われたままです。関係者の証言によると、莫大な株式売却益や過去の配当収入を元手に資産管理会社を通じて生活を維持しているものの、事実上の隠遁状態に追い込まれています。
一方、組織内で絶対的な権力を握り、激しい恫喝や理不尽な降格処分を主導したと内部告発された長男・兼重宏一元副社長のその後もまた、徹底した沈黙に覆われています。会見の場にすら同席せず逃亡したと厳しく批判された同氏は、都内の高級タワーマンションなどを拠点に身を潜めていると報じられています。かつて社内SNSで幹部を震え上がらせた「教育的指導」の面影はなく、表立った実業活動への復帰は絶望視されています。
創業家親子が投げ出した難局で舵取りを託されたのが、専務から急遽社長へと昇格した和泉伸二氏でした。和泉伸二社長の経歴を振り返ると、同氏は山口県出身で叩き上げとして頭角を現し、営業本部長などを経てトップに上り詰めた人物です。会見での涙ながらの謝罪や現場改革の宣言は一定の注目を集めたものの、旧体制下での重責を長年担ってきた経歴から「過去の不正を知らなかったはずがない」との厳しい追及を受け続けました。結果として、後述する事業分割と新会社発足に伴い、同氏をはじめとする旧経営陣は再建の表舞台から完全に退くことになりました。