ギラン・バレー症候群の急性期治療は、自己免疫による神経攻撃を一刻も早く遮断することが主眼となります。現在、日本および国際的なガイドラインで確立されている第一選択の治療法は主に2つです。
第一が免疫グロブリン大量静注療法(IVIg)です。健康なドナーから集められた免疫グロブリン製剤を5日間にわたって点滴投与し、異常な自己抗体の働きを中和・抑制します。簡便で安全性が比較的高いため、現在の急性期治療の主流となっています。第二が血液浄化療法(単純血漿交換療法:PE)であり、血液中の血漿成分を遠心分離や膜で濾過し、病気の原因となっている自己抗体を取り除いて新鮮な血漿やアルブミンと交換します。
発症から症状が最も悪化する「極期」までは通常2〜4週間程度です。その後、進行が止まる「プラトー期(横ばい状態)」を経て、数ヶ月から1年以上の時間をかけて緩やかな回復期へと移行します。
リハビリテーションは急性期のベッド上から開始され、関節の拘縮予防、座位保持、立ち上がり訓練、歩行訓練へと段階的に進められます。統計上、発症後1年時点で約80%の患者が補助なしで自立歩行可能なレベルまで回復しますが、重度の軸索変性を伴った約15〜20%のケースでは筋力低下やしびれ、易疲労感などの後遺症が残存し、長期的な機能訓練が必要となります。
なお、医療費と制度面について知っておくべき現実があります。ギラン・バレー症候群は「急性疾患」であるため、原則として国の指定難病(医療費受給者証の対象)には認定されていません(慢性型である『慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー:CIDP』は指定難病対象)。しかし、急性期治療は高額な薬剤費がかかるため、公的医療保険の高額療養費制度を活用することで、月々の自己負担額を一定の限度額内に抑えることが可能です。