乗っ取られたアカウントで最も頻発するのが、フォロワー宛てにDMが勝手に送信される現象です。一体なぜ犯人はこのような挙動に出るのか、その裏には明確に異なる2つの犯罪動機が存在します。
被害者の証言やSNS上の生の声、各種セキュリティコミュニティに寄せられた相談事例を精査すると、被害の実態は大きく「無差別の海外金銭詐欺グループ」と「身近な知人による人間関係破壊・ストーキング」に二極化していることが分かります。
大手ネット掲示板や知恵袋、取材に応じた20代女性被害者の手記には、次のような生々しい実情が記録されています。
「朝起きたら、親しい男友達や大学のゼミ仲間に向けて、私の名義で卑猥なメッセージや下ネタDMが連投されていました。犯人はパスワードを共通化していた元交際相手でした。過去に教えたことのある記念日の数字とペットの名前の組み合わせで突破されていたのです」(20代・大学生女性の手記より)
このように、知人の犯行理由の大半は、歪んだ独占欲、復縁を迫るための監視、破局に対する逆恨み、あるいは日常的な人間関係における嫉妬心です。知人の場合は、共通の知人関係を破綻させるような悪質な文面を意図的に選んで送信する傾向が顕著に見られます。
一方で、もう一つの典型例が無差別型のサイバー犯罪です。「今すぐこのリンクから投票して」「仮想通貨で数千万円儲かる投資グループに参加しませんか」といった定型的なDMが一斉送信される場合、その背後にはフィッシング詐欺グループや海外の組織的犯罪ネットワークが存在します。彼らにとって乗っ取ったアカウントは単なる「詐欺拡散用の踏み台」に過ぎず、フォロワーとの個人的な関係性は一切考慮されません。