梅干しの寿命を決定づける最大の要素、それは「塩分濃度」だ。化学保存料など存在しなかった時代、先人たちは塩の力だけで微生物の発育を完全に抑え込む知恵を生み出した。塩分濃度が18%〜20%を超える伝統的な梅干しは、浸透圧の作用によって雑菌が繁殖できないため、理論上は数十年、保存状態が良ければ100年以上経っても腐敗しない。
しかし、現代の店頭で流通している梅干しの大半は、そこまで塩分が高くない。健康志向の高まりに伴い、塩分8%前後、時には3%〜5%にまで抑えられた商品が主流を占めているからだ。塩分が10%を切ると防腐効果は劇的に低下する。つまり、同じ「梅干し」という名前であっても、塩分量によって性質は別物であり、消費期限に近いシビアな管理が求められるのだ。