『それいけ!アンパンマン』の収録現場において、マイクの数は限られている。しかし、彼が担当するキャラクターたちが同時に会話を交わすシーンは決して珍しくない。通常であれば別録りやテイクを分けるような場面でも、瞬時に発声法や声のトーンを切り替え、一発で演じきる姿は現場のスタッフを幾度となく唸らせてきた。
単に声を高くしたり低くしたりするだけではない。キャラクターが持つ背景や感情の波、さらには呼吸のタイミングまで完璧にコントロールする。声優界の頂点に君臨するレジェンドでありながら、「毎回が真剣勝負。瞬時の切り替えには集中力の極限が求められる」と本人は語る。この恐るべき演じ分けの技術こそが、作品のテンポ感とライブ感を生み出す最大の源泉なのだ。