本作の屋台骨を支えているのは、間違いなく土着の言葉である博多弁の響きだ。「とっとーと?(取っているの?)」という日常の問いかけが、劇中では「自分の居場所を誰かが守ってくれているのか」という根源的な問いへと変貌を遂げる。言葉のリズムそのものが、孤独を抱える現代人の心へ染み渡っていく。
単なるノスタルジーに浸る郷土讃歌ではない。失われゆく地域のコミュニティや、血縁だけでは繋ぎ止められない現代の家族観を容赦なくえぐる重厚なヒューマンドラマとして成立している。言葉の端々に宿る哀愁とユーモアが、痛切な物語に救いを与えている。