「ブリーチ剤を使わずに、なぜ透明感のある発色が得られるのか」。この疑問を解き明かす鍵は、薬剤選定と2段階プロセスの設計にある。一般的なワンメイク(1回染め)のカラーリングでは、自毛のメラニン色素を削る「脱色(リフト力)」と色素を定着させる「発色(ティント力)」を1本の薬剤で同時に処理する。そのため、明るさを優先すれば色味が薄くなり、濃い色味を求めれば全体が暗く沈むというトレードオフが生じていた。
これに対し、ブリーチなしダブルカラーではプロセスを完全に分離する。1工程目にはアルカリカラーのなかで最もリフト力の高い「ライトナー」や高明度カラー剤を使用し、毛髪内部の黒褐色のユウメラニンを可能な限り分解して明るいベースを作る。このライトナーによるトーンアップの仕組みこそが、施術の根幹を支える技術だ。過硫酸塩を含む強力なブリーチ剤を用いずに、アルカリと過酸化水素の力だけで自毛の明るさを限界まで引き上げる。
そして一度シャンプーを行い、キャンバスとなるベースを明るく整えた状態で、2工程目に狙った色味を低アルカリ〜微アルカリの薬剤で重ねていく。余分なリフト力を必要としない2剤目はキューティクルへの負担が極めて少なく、純粋に色素だけを密に定着させられる。髪をズタズタに傷めることなく、光を乱反射して透けるような質感が生まれるのは、この精密に計算された工程分離の賜物である。