有楽町よみうりホールの座席選びにおいて、最も理解しておくべき核心が「1階席と2階席における傾斜設計の根本的な違い」です。一般的な多目的ホールでは全体に均等なスロープが設けられるケースが多いものの、歴史ある当ホールは前後でアングルが全く異なります。
まず1階席の最大の特徴は、最前列A列からG列付近までの傾斜がほぼフラット(平坦)である点です。舞台自体の高さが約80cmほど確保されているとはいえ、客席の段差がほとんどないため、前の座席に座高の高い観客や大きな髪型の観客が座ると、ステージ中央にいる演者の胸から下がすっぽり隠れてしまう「頭被り」が頻発します。「1階前方席が当選したから肉眼で見放題」と油断して現地に入り、前の人の背中越しに隙間を探し続ける事態に陥るケースは後を絶ちません。段差がしっかりと付き始めるのはH列やI列以降であり、ここから視界が一気に抜けて視界ストレスから解放されます。
対照的に、2階席はスキー場のジャンプ台を想起させるほどの急勾配なすり鉢状に設計されています。前の列の座席背面に対して次の列の座面がしっかりと一段高く設置されているため、前に大柄な人が座っても頭がステージを遮る心配はほぼありません。その代わり、ステージを見下ろす俯瞰(ふかん)アングルが非常に強くなり、2階中盤から後方列では演者の頭頂部を見下ろすような視覚体験となります。また、高所に対する恐怖感を持つ人にとっては、着席時に一瞬足がすくむほどの急傾斜であることも見逃せない事実です。