まずは『春暁』の全体像を把握するために、白文、訓点(返り点・送り仮名)、書き下し文、そして春暁 わかりやすい現代語訳を一連の流れで確認します。テスト対策の基礎となる部分ですので、まずは声に出してリズムを掴むことが確実な理解への近道です。
【白文】
春眠不覚暁
処処聞啼鳥
夜来風雨声
花落知多少
【訓点付き(返り点・送り仮名)】
春眠不レ覚二暁一(春眠 暁を覚えず)
処処聞二啼鳥一(処処 啼鳥を聞く)
夜来風雨声(夜来 風雨の声)
花落知二多少一(花落つること 知る多少)
【春暁 書き下し文】
春眠(しゅんみん) 暁(あかつき)を覚えず
処処(しょしょ) 啼鳥(ていちょう)を聞く
夜来(やらい) 風雨(ふうう)の声
花落(お)つること 知る多少(たしょう)
【現代語訳】
春の眠りはまことに心地よく、夜が明けたことにも気がつかないほどだった。
ふと目を覚ますと、あちこちから鳥のさえずる声が聞こえてくる。
そういえば、昨夜は激しい風と雨の音がしていた。
庭の花は、一体どれほど散ってしまったことだろうか。
各句の言葉を丁寧に分解すると、情景の移り変わりが鮮明に見えてきます。第一句の春眠暁を覚えずの意味は、「春の夜の眠りは心地よく、夜が明けたのにも気づかず眠り込んでしまう」という生理的な心地よさを表しています。ここでいう「暁」とは真っ暗な未明ではなく、すでに空が白んで朝を迎えた時間帯を指す点に留意が必要です。
第二句の「処処」は「あちこちで」、「啼鳥」は「鳥の鳴き声」を意味します。目を開ける前から耳に飛び込んでくる鳥の声によって、季節の活気と生命感が聴覚的に提示されます。
そして後半、第三句の夜来風雨の声 現代語訳は「昨夜、風雨の吹き荒れる音がしていた」となり、意識は突如として過去へと巻き戻されます。結びとなる第四句の花落知多少 意味は、「花はどれほど散ってしまっただろうか(きっと数えきれないほど散ってしまったに違いない)」という、散花を痛惜する心情を含んだ疑問・詠嘆の表現です。