インターネット上や都市伝説の文脈で、「柿にまつわる怖い話」や「柿の木を庭に植えてはいけない」という噂を目にすることがあります。温和で恵み豊かなイメージとは対照的なこうした怪談や忌み嫌う風習には、一体どのような背景があるのでしょうか。
要因の一つとして挙げられるのが、古くから親しまれてきた民話『さるかに合戦』の影です。ずる賢い猿が青く硬い柿の実をカニに投げつけて怪我をさせる悲劇的な描写は、子供心に「柿=危険・暴力的」という潜在的な恐怖のイメージを植え付ける契機となりました。また、熟した柿が頭上に突然落下してくる事故への警戒心が、怪談じみた教訓として変化した側面もあります。
さらに「柿の木を切ると祟られる」「庭に植えると病人が出る」といった俗信の裏には、極めて実用的かつ農業上の理由が存在します。柿の木は枝が非常に折れやすく、高所に登って収穫する際に転落事故が多発したため、危険を避ける目的で警戒されたのです。また、大きく根を張るため家屋の基礎を痛めやすいという現実的な事情が、いつしか言葉の独り歩きによって「怖い都市伝説」へとすり替わっていきました。