劇中で繰り返される「野に咲く〜花のように〜」のメロディと、「おにぎりが食べたいんだな」というお決まりのセリフ。これらは一見、お約束のギャグのようでありながら、塚地の演技によって深い意味を持つようになった。彼が演じる清が放つその一言には、お腹を満たしたいという本能的な欲求と同時に、他者からの拒絶を恐れる切なさが同居していた。
おにぎりを差し出す旅先の人々との交流。そこには、打算のない善意が存在した。塚地は、相手の懐にスッと入り込む独特の「愛され力」を武器に、画面越しの私たちにもその温もりを分けてくれたのだ。短いセリフの中にこれほどの感情を乗せられる役者は、そう多くない。