『それいけ!アンパンマン』のアフレコ現場において、山寺の真骨頂は「マイクワーク」にある。1つの回で彼が担当するキャラクターが複数重なることは日常茶飯事だ。チーズが吠え、カバおが叫び、かまめしどんが調子よく歌い、ジャムおじさんが優しく語りかける。これらが同じ場面で展開する際、山寺はマイクの前から動くことなく瞬時に声帯をコントロールする。
共演する声優陣からも「隣で聞いていて頭が混乱する」「完全に別の人間が複数入っているとしか思えない」と恐怖すら交えた称賛が送られる。通常なら別々に収録して編集で合わせるようなシーンでも、彼は一発録りで掛け合いを完成させてしまう。この卓越したスキルこそが、アニメのテンポ感と生のライブ感を生み出しているのだ。