今年の東京ファッションウィークを振り返ると、その潮流は一目瞭然だ。かつてメンズウェアとウィメンズウェアを明確に分けていた境界線は、もはや跡形もない。ランウェイを歩くモデルたちは、肩パッドの入ったオーバーサイズのテーラードジャケットに、繊細なレースやドレープを組み合わせたスタイルを堂々と着こなす。
この動きは単なる一時的なトレンドではない。ファッション業界の関係者は「体型を隠すためのオーバーサイズではなく、自らの意思でシルエットを選択する主体性が支持されている」と分析する。男性の服を借りて着るのではなく、メンズの仕立てが持つ機能性と力強さを、自らのアイデンティティの一部として能動的に取り込むスタイルが定着している。