経済学の視座において、労働力搾取とは労働者が生み出した価値に対して正当な対価が還元されず、雇用主が不当に利益(剰余価値)を吸い上げる構造を指します。思想家カール・マルクスが『資本論』で提唱したマルクス剰余価値論では、労働者が自身の生活を維持するために必要な「必要労働」を超えて働く「剰余労働」が生み出す価値が、資本家の利潤の源泉になると説かれました。
本来、資本主義経済において企業利益の追求自体は正当な企業活動です。しかし、正当な残業代を支払わない、労使間の圧倒的な力関係を盾に適正な賃金水準を下回る報酬で拘束するなど、法的・人道的な規範を逸脱して労働者をすり減らす行為こそが、問題視される労働搾取の本質に他なりません。
契約関係でありながら対等性を失い、労働者の時間や心身の健康が一方的に消費される状態は、個人の生活を破壊するだけでなく、健全な市場競争をも歪める重大な経済的病理です。