旅行業界やエンターテインメント業界の構造も根底から変わりつつある。「現地を訪れる旅」が途絶えたわけではない。むしろ、遠隔からの体験が普及したことで、人々の「生の空気」に対する価値基準がより明確になったと言える。
遠隔参加者には、現地では決して入れないカメラアングルや、演者の視点をそのまま体験できる独自のプレミアム価値が提供される。一方で、現地を訪れる旅行者は、その場所の匂いや人間同士の予期せぬ出会いといった「偶発的な価値」を噛み締める。リアルとリモートは対立する関係ではなく、補い合う二つの選択肢として消費者に定着している。