メガヒットの裏側で、映画レビューサイトやSNSコミュニティにおける新海誠評価評判は、時代とともに大きなグラデーションを描いてきました。監督のキャリアは、熱狂的なカルト的人気を誇った初期から、数千万人規模のマス層へ向けた作劇への変遷そのものです。
『秒速5センチメートル』までのファン層は、徹底した内省描写やすれ違いのリアル、ハッピーエンドをあえて拒むようなビターな結末を強く支持していました。そのため、『君の名は。』が公開された当初は、一部の古参ファンから「大衆に迎合したハッピーエンドではないか」「RADWIMPSのミュージックビデオのようだ」といった批判的な声も散見されたのは事実です。
しかし、続く『天気の子』で提示された「世界を狂わせたままでいい」という少年のわがままな叫びは、安易な大衆迎合とは対極にある尖った作家性の証明でした。Yahoo!映画やFilmarksなどの主要レビューを分析すると、『天気の子』では賛否両論のスコアの割れ方が顕著であり、「無責任な結末に納得がいかない」という声と「これこそが新海誠の剥き出しの作家性だ」という絶賛が激しく衝突しました。そして『すずめの戸締まり』では、誰もが共有する未曾有の災禍を正面からエンタメとして昇華させたことで、初期からのファンと新規層の双方がその覚悟と技術力を高く再評価する契機となりました。