野球界における選手評価の概念を根底から覆したのは、かつてMLBのオークランド・アスレチックスでゼネラルマネージャーを務めたビリー・ビーンだ。彼が提示したマネーボール理論は、従来のスカウトの「直感」や「経験則」を排除し、出塁率や長打率などのデータ分析を最優先する革命をもたらした。
しかし、データ解析が極限まで進んだ現在、現場の評価軸は一周して「データと直感の融合」へと立ち返っている。回転数や変化球の曲がり幅がいくら凄まじくても、故障しやすいフォームであれば意味がない。トラッキングシステムが弾き出す数字をベースにしつつも、選手の怪我への耐性や成長力という「数字に表れない定性情報」を解読すること。これこそが、現代のスカウトに求められる高度な眼力なのだ。