なぜ特定の人物ばかりに不運が集中するように見えるのだろうか。その根底には、脳の認知バイアスが深く関わっている。代表的なものが「確証バイアス」だ。自分は不幸であるという思い込みが一度形成されると、脳は日常のあらゆる出来事の中から「自分が不運である証拠」ばかりを拾い集めるようになる。友人からの返信が数分遅れただけで「嫌われている」と判断し、上司の何気ない一言を「攻撃」と捉えて過剰に反応してしまう。
さらに恐ろしいのは、「自己破壊的行動」が無意識のうちに組み込まれている点だ。せっかく良好な人間関係が築けそうになっても、相手を試すような極端な言動をとって自ら関係を壊してしまう。成功が目前に迫ると強烈な不安に襲われ、突然のスケジュール遅延や準備不足を引き起こす。いわゆる「完璧主義」と「全か無か思考」が組み合わさることで、ほんのわずかな躓きすら完全な失敗だと見なし、自らすべてを投げ出してしまうのだ。こうした行動癖が周囲の人々を遠ざけ、結果として孤立と不幸を強固なものにしていく。