田村三木ヱ門を語る上で絶対に外せないのが、愛用する石火矢(いしびや)をはじめとする火器への偏愛です。彼は所有する火器に女性の名前を付け、あたかも生きている人間であるかのように接します。
なかでも最も有名なのが、自慢の石火矢「ユリコ」です。作中では、ユリコを丁寧に磨き上げ、語りかけ、時には敵の攻撃から身を挺してかばう姿すら描かれます。ユリコ以外にも、大筒の「サチコ」や火縄銃の「トシオ」など、複数の火器それぞれに名前を与えて大切に管理しています。
一見するとコミカルで強烈な奇行にも映りますが、戦国時代・安土桃山時代の忍びにとって火器は自らの命を預ける最大の相棒です。火薬の湿気管理や砲身のメンテナンスに寸分の狂いも許さない職人気質な姿勢は、プロの技術者としての誠実さの表れでもあります。ファンが彼に惹かれる大きな要因は、この「突き抜けた専門性」と「一途な愛着」のギャップにあります。