なぜMacでは、多くの日本人ユーザーが慣れ親しんだF7キーによるカタカナ変換が初期状態で動作しないのか。その核心は、Macファンクションキーが効かない理由の根底にある「欧米市場を中心としたキーボードのUI設計」に存在する。
macOSの初期出荷設定では、最上段に並ぶF1からF12のキー列に対してMac特殊機能キー音量画面輝度変更をはじめとするマルチメディア制御がプライマリ(最優先動作)として割り振られている。英語圏のタイピング文化においては単語をカタカナや半角英数へ再変換する文化が存在しないため、物理的なファンクションキーには画面の明るさ、キーボードバックライト、Mission Control、メディアの再生・一時停止、音量調整といった操作をワンアクションで実行できる利便性が優先されてきた。
一方で、日本語入力(IME)の環境では、Macカタカナ変換F7設定やMac半角カナ変換F8に代表されるF6〜F10キーの割り当てが、文章作成のスピードを決定づける生命線となっている。初期状態のMacでこれらの変換機能を発動させるには、キーボード左下または右下にある「Fnキー」もしくは「地球儀キー」を指で押さえ込みながら同時にファンクションキーを押下しなければならない。この「2キー同時押し」という不自然な指の動作が、長年Windowsで培われたタイピングのリズムを寸断し、入力作業における深刻なストレス源となっているのだ。