世界最高峰の文学賞である国際ブッカー賞へのショートリスト選出は、現代日本文学が国際舞台で占める位置を大きく塗り替える快挙となった。それまでの「静謐なオリエンタリズム」という固定観念を打ち破り、人間存在の本質的な傷や身体性をテーマに据えた作品が、世界中の文芸市場の中心で受け入れられる時代の到来を告げた。
村上春樹以降の新しい文学的潮流を牽引する存在として川上未映子が国際的に確固たる地位を築いた背景には、普遍的な人間の苦悩を妥協なく掘り下げる視座がある。彼女の存在は、アジアから世界へ向けた文学の新たな可能性を示すシンボルとなっている。