かつて七冠を独占し、将棋界の頂点に君臨し続けた羽生善治。しかし、20代の若手が台頭し、AIによる事前研究が勝敗を分ける現代において、50代の棋士がトップ戦線に踏みとどまることは奇跡に近いとされてきた。事実、ここ数年の羽生はレーティングの低下や予選敗退など、苦しい時期を過ごしていたのも事実だ。
だが、彼は諦めなかった。それどころか、自身のプレースタイルを根本から見直したのだ。若手のようにAIツールを徹底的に使いこなしつつも、それに溺れない。デジタルとアナログのハイブリッド。この柔軟性こそが、彼を再び頂点へと押し上げた原動力である。