錦織のキャリアを語る上で欠かせない存在が、師父とも言えるマイケル・チャンコーチだ。厳格な指導方針で知られるチャン氏だが、コート外での錦織の精神的成長と家庭生活の変化に対しても、深い理解を示してきた。激動のATPツアーを戦い抜くには、技術やフィジカルだけでなく、強固な精神的基盤が不可欠だからだ。
「コートに入れば一人の戦士だが、コートを出れば一人の夫であり父親だ」。そうした割り切りが、復帰への過酷なプロセスにおいて大きな支えとなった。満身創痍の身体を奮い立たせ、再びツアーの過酷な移動に耐えうるメンタルを維持できた背景には、コーチ陣との信頼関係と、家庭で育まれる精神の平穏が合致していたからに他ならない。