愛犬が自分のしっぽをぐるぐると追いかけ回す(テールチェイシング)姿や、しっぽの先をガジガジと噛み続ける行為を目撃した飼い主は少なくありません。子犬期の一時的な遊びであれば過度な心配はいりませんが、成犬になっても執拗に繰り返す場合、そこには明確な心身の悲鳴が存在します。
動物行動学および皮膚科・整形外科の臨床現場において確認される主な要因は、以下の3点に分類されます。
- 強迫性障害・極度のストレス:運動量の不足、長時間の留守番による孤独感、飼育環境の急激な変化などからくる欲求不満を紛らわせるため、自傷行為として自分のしっぽを噛みちぎってしまうケースです。
- 皮膚疾患・アレルギーによる脱毛とかゆみ:しっぽの付け根や先端にノミ・ダニが寄生している場合や、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、ホルモン異常(甲状腺機能低下症やアロペシアX)を発症すると、強いかゆみと局所的な脱毛が発生します。患部を舐め壊すことで細菌感染(膿皮症)を併発し、皮膚が黒ずんでしまうこともあります。
- 肛門嚢(こうもんのう)の炎症:しっぽの付け根付近にある分泌腺が詰まり、違和感や疼痛からしっぽを気にしてお尻を地面に擦りつける仕草を見せます。
さらに見過ごせないのが、トイプードルのしっぽの骨折や脱臼です。小型犬の尾椎(びつい)は非常に細く繊細です。「室内ドアにしっぽを挟んだ」「抱っこから落下した」「家族が誤って踏んでしまった」といった日常のアクシデントで容易に骨折します。
「しっぽの特定の部位が不自然に折れ曲がっている」「しっぽに触れようとすると激しく悲鳴をあげて威嚇する」「しっぽをまったく上げようとしない」といった症状が見られた場合は、単なる機嫌の悪さではなく骨折や神経損傷を疑い、直ちに動物病院でレントゲン検査を受けてください。