ネット検索で「ヒトデ 裏側」と入力すると、関連ワードに「気持ち悪い」「閲覧注意」と並んで「集合体恐怖症」が上位を占めます。実際にイトマキヒトデの裏側やマヒトデの裏面を拡大した写真を見た際、激しい嫌悪感や鳥肌、生理的な不快感を訴える人が多数派を占めるのはなぜでしょうか。そこには人間の脳に刻まれた防衛本能と心理学的メカニズムが存在します。
進化心理学の分野において、小さな穴や細かな突起が密集している画像に対して嫌悪感を抱く現象は「トライポフォビア(集合体恐怖症)」として広く研究されています。ヒトデの管足が密集して蠢く様子は、まさにこのトライポフォビアのトリガーとなる視覚刺激の典型例です。ヒトデの裏側が気持ち悪い理由の根底には、感染症の病変(発疹や水疱)、あるいは寄生虫が密集している状態を直感的に想起させる視覚パターンが含まれていると説明されます。
人類の祖先にとって、毒ヘビや毒グモ、病原菌に侵された皮膚などの「斑点・密集パターン」を瞬時に察知し、恐怖や嫌悪感を感じて距離を置く個体ほど生存確率が高まりました。つまり、ヒトデの裏側を見て「うわっ、気持ち悪い!」と叫びたくなる反応は、異常な恐怖症などではなく、危険な寄生生物や病気から身を守るために太古の昔から遺伝子に刻み込まれた正常な防衛バイアスなのです。