国土交通省が事故物件の告知義務に関するガイドラインを定めてから数年が経過した。だが現場の混乱は収まるどころか、むしろ深まっている。老衰などの自然死は原則告知不要とされる一方、「特殊清掃」が必要となった場合は告知義務が生じるなど、実務上の線引きは今なお極めて曖昧だ。
このグレーゾーンを背景に、サイト上の書き込みを巡る損害賠償請求や削除要請の法廷闘争は引きも切らない。不動産オーナーにとっては、一回の事故で数千万円の資産価値が吹き飛ぶ死活問題だ。「居住者の知る権利」と「個人の財産権保護」の均衡をどこに保つべきか。日本の法制度は未だ明確な解を出せていない。