ここで一つ、ネット上の口コミにはほとんど書かれない構造的な盲点を指摘しておきたい。それは「札幌スープカレー曼荼羅の行列」が、純粋な味の評価だけで形成されているわけではない、という点だ。
澄川エリアは、札幌市内でもスープカレー激戦区として知られる。近隣には実力店が複数存在し、食べ歩き文化が根付いている。そんな中で行列が可視化されると、人は「行列=美味しい」というヒューリスティック(経験則)に従って並び始める。行動経済学で言うところの「社会的証明の原理」だ。実際、口コミの中には「並んでいるから期待したが、自分の好みの味ではなかった」という少数意見も存在する。重要なのは、「行列している=万人にとって最高の味」ではないという冷静な認識である。
また、札幌スープカレー曼荼羅のスープの種類は、定番のチキンベースに加えて、季節ごとに変わる限定スープがある。これが「今しか食べられない」という希少性を生み、リピーターの再来店動機を強化している。マーケティング的には優れた設計だが、初訪問の客が「定番を食べたいのに限定ばかり推される」と感じるケースもあるようだ。口コミの深層を読むと、そうした微細な不満が「待ち時間の長さ」に転化されて表出している。