上条当麻を取り巻く人間関係の中で、特に読者の心を揺さぶり続けているのが、メインヒロインであるインデックスと御坂美琴との関係性です。
インデックスにとって、上条は自らの記憶を守り、平穏な日常を与えてくれた絶対的な居場所です。しかし、その日常は「上条が記憶を失っている」という残酷な嘘の上に築かれています。インデックスがその真実を知らないまま無邪気に笑う姿は、物語における最大の切なさであり、上条が命を懸けて守りたい日常の象徴でもあります。
一方、電撃使いの超能力者・御坂美琴との関係は、ライバルから徐々に「隣に立ちたいと願う共闘者」へと変化していきました。美琴は上条が背負う過酷な戦いを知るにつれ、「自分は彼の重荷を半分背負えているのか」という激しい焦燥感を募らせていきます。しかし上条は、美琴を理不尽な血の世界に巻き込みたくない一心で、あえて距離を置こうとします。このすれ違いと互いを思いやる不器用な感情の交錯こそが、『とある』シリーズを牽引するエモーショナルな推進力となっています。