フットサルはサッカーの万能薬か。答えは否だ。ここには育成指導者すら見落としがちな、極めて危険な盲点が潜んでいる。
代表例が「足裏トラップへの過度な依存」だ。摩擦の大きい体育館の床では有効なソールストップも、雨に濡れた天然芝や凹凸のあるピッチではボールが足裏をすり抜ける致命的なミスを招く。また、足裏でボールを止める動作は瞬間的に身体の重心を固定するため、激しいボディコンタクトが許容されるサッカーの文脈では格好の標的になりかねない。
空間認知のスケール感も異なる。フットサル特有の局所的な視野に慣れすぎると、30〜50メートルの広大なサイドチェンジや、背後へ抜けるロングフィードへの対応力が鈍る。オフサイドが存在しない環境で育った選手が、11人制の最終ラインとの駆け引きでオフサイドトラップに捕まり続ける事例は枚挙にいとまがない。身体的なスタミナ配分も別物だ。無制限交代による高強度ダッシュの反復と、90分間を持続的に走り抜く有酸素運動とでは、筋力および代謝システムへの要求が根本から食い違う。