凪をめぐる恋と再生の行方において、最も注目を集めたのが物語の着地点です。原作漫画とTBSドラマ版では、物語の着地や余韻の持たせ方に明確なニュアンスの違いが存在します。
2019年9月に放送された金曜ドラマ『凪のお暇』最終回(第10話)では、視聴率10.8%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)を記録し、Twitter世界トレンド1位を獲得しました。このドラマ版の結末において、ゴンは自らの恋心を自覚したのち、凪に対して「凪ちゃんが好き。俺と一緒にいてほしい」と真っ直ぐな想いを告げます。しかし、凪が出した答えは「ゴンさんのおかげで変われた。でも、今は誰かに依存するのではなく、自分の足で自分の人生を生きてみたい」という自立の宣言でした。ゴンはその言葉を遮ることなく受け止め、切なくも穏やかな微笑みで見送るという、大人の引き際を見せました。
一方、月刊『Eleganceイブ』(秋田書店)で連載されたコナリミサトの原作漫画では、より登場人物たちの生活感や精神的変遷が泥臭く描かれています。ゴン自身も「ただ都合よく去る隣人」にとどまらず、凪に振られた痛みを引きずりながら、自分の仕事や生き方そのものを徐々に再構築していく過程が丁寧に描写されました。ドラマ版が「ひと夏のリセットと自立の門出」を爽快に切り取ったのに対し、原作は「人生という続く日常の中で、人はどのように他者と距離を取り直すか」という、地に足の着いた着地点へと着地しています。