一般的に混同されがちな3つの建材ですが、その本質は「単一の結合材」か「複合材料」かという点に集約されます。料理に例えるならば、セメントは「小麦粉」、モルタルは小麦粉に水と砂糖を混ぜた「ペースト」、コンクリートはさらにナッツやドライフルーツを混ぜ込んで焼き固める「クッキー」のような関係性です。
まず「セメント」とは、石灰石や粘土などを高温で焼成し、石膏を加えて微粉末にした水硬性の結合材料そのものを指します。水と反応(水和反応)することで硬化する性質を持ちますが、粉末単体に水を混ぜただけの「セメントペースト」は、硬化する過程で体積が著しく縮小します。その結果、激しい乾燥収縮によるクラック(ひび割れ)が不可避となり、単体で構造物や舗装の表面に使用することは工学的に不可能です。
このセメントに「砂(細骨材)」と水を混合した材料が「モルタル」です。砂が骨組みの役割を果たすことで乾燥収縮が大幅に抑えられ、粘着性と成型性が向上します。ペースト状で伸びがよく、コテで滑らかに仕上げられるため、ブロック積みの目地充填や、外壁・土間の表面化粧仕上げに重宝されます。
そして、モルタルに「砂利や砕石(粗骨材)」を加えたものが「コンクリート」です。骨太な骨材同士がセメントペーストによって強固にかみ合うことで、圧縮に対して圧倒的な強度を発揮します。この骨材のサイズと配合の差こそが、用途の境界線を決定づけています。