夏休みが短縮傾向にある最大の要因は、児童生徒が学ぶべき「授業時数の逼迫」にあります。小学校では新学習指導要領の全面実施に伴い、外国語(英語)教育の教科化やプログラミング教育の導入、アクティブ・ラーニング型の探究学習など、学習内容が高度化・過密化しました。標準授業時数をクリアするため、年間カレンダーの中で授業日をどこかで捻出せざるを得ない状況が生じています。
中学校においても、部活動の地域移行や新教科書への改訂に伴い、日常のコマ数だけでは定期テストや学校行事の日程消化が極めて厳しくなっています。その結果、最も調整弁として使われやすい夏休みの前後に授業日を食い込ませる手法が取られるようになりました。
もう一つの決定的な要因が「地球沸騰化」とも称される過酷な猛暑です。かつては「暑さから子どもの健康を守るため」に設定されていた長期休業ですが、近年の酷暑環境では冷房が効いた自宅に籠もるか、あるいは冷房完備の教室で管理された環境下で過ごす方が安全であるという議論も生まれています。
さらに、1学期・2学期・3学期で分ける3学期制から、前期・後期の「2学期制(秋休みを数日間設ける方式)」へと移行した自治体では、8月25日前後から前期後半の授業を再開するスケジュールが定着しました。これにより、「8月31日までが夏休み」という昭和・平成期の常識はすでに過去のものとなりつつあります。