彼を語るうえで避けて通れないトピックが、その桁外れな家庭環境だ。父親である松井敏浩氏は、日本を代表する金融大手である大和証券グループ本社で副社長や最高幹部を歴任した本物の財界重鎮。世間が抱く「苦労して這い上がる芸人」というステレオタイプを、彼は軽やかに、そして実にユーモラスに裏切り続けている。
「金持ちいじり」は一歩間違えれば視聴者の反感を買う劇薬になり得る。しかし、ケムリは自らの恵まれた出自を一切隠蔽せず、かといって過剰にひけらかすこともない。父親の社会的地位すらも自虐と知的なスパイスへと昇華し、極上のエンターテインメントに仕立て上げるバランス感覚は天性のものである。豪邸でのエピソードや育ちの良さが滲み出る上品な言葉遣いは、殺伐としがちな現代のバラエティ空間において、むしろ清々しい異彩を放っている。