穏やかなアイドル路線でトップをひた走っていた彼女に、決定的な転機が訪れる。稀代の風雲児・村西とおるによるメガホンと過激なプロデュースによって世に放たれた『ザ・本番 小林ひとみ』の存在だ。それまでのイメージを根底から覆す極限のドキュメンタリータッチと生々しい情感の表出は、業界内外に文字通りの激震を走らせた。
演出と現実の境界を曖昧にする村西の手腕は、彼女の持つ神秘性を剥ぎ取るどころか、かえって凄絶なまでのエロスとカリスマ性を開花させた。画面越しに伝わる尋常ならざる熱気。観客はただ圧倒され、ビデオテープは飛ぶように売れた。商業的な大成功を収めた一方で、この過激な跳躍は表現者としての彼女に過酷なプレッシャーを課すことにもなる。光が強くなればなるほど、その背後に落ちる影もまた深くなっていった。