この事件が社会に投じた最大の問題提起の一つが、事前のSOSに対する警察の初期対応であった。冨田真由さんは事件発生前、SNS上での執拗な嫌がらせや脅迫めいた書き込みについて警視庁の武蔵野警察署に何度も相談に訪れていた。しかし、当時のストーカー規制法はSNSによる連続送信を直接の規制対象として想定しておらず、危機感の共有不足が最悪の事態を招いたと強く批判された。
この痛切な反省に立ち、警察庁および警視庁はストーカー事案への対応体制を根本から見直した。事件の同年、国会では即座にストーカー規制法の改正案が可決・施行され、SNSでの嫌がらせも規制対象へと含まれるに至った。冨田さんの勇気ある提言と命がけの告発が、日本の防犯行政および法制度に歴史的な転換点をもたらしたことは疑いようのない事実である。