長年にわたり日本銀行の発行する最高額紙幣の顔を務めた男の素顔は、教科書に書かれた偉人伝のイメージとは遠くかけ離れている。日本史に名を残す偉人たちの多くが神格化される中、福沢諭吉ほど自らの弱みや愚行を隠さずにさらけ出した人物は珍しい。
現代の視点から改めて彼の人生を見返すと、完璧な聖人君子ではなく、失敗や矛盾を抱えた「人間・福沢諭吉」の姿が浮かび上がる。酒に酔って失敗し、権力に毒づき、それでも圧倒的な行動力で時代を切り拓いた。その人間味あふれるギャップこそが、時代を超えて人々を惹きつけてやまない魅力の源泉なのだ。