一連の裁判が児童書出版業界に与えた影響は、計り知れないほど大きい。従来の出版業界では、著者やイラストレーター、編集者間の契約関係が口頭の信頼関係や曖昧な取り決めに依存しているケースが少なくなかった。しかし、国民的キャラクターを巡る悲痛な法廷闘争は、業界全体の契約実務を一変させる契機となった。
企業や出版社における知的財産・著作権法務の現場では、作品の企画段階から「誰がどこまで創作に関与したか」を明確に記録し、契約書として取り交わす実務が標準化された。共同制作者やデザインスタッフとの権利帰属をあらかじめ明文化することの重要性が、この事件を通じて痛烈に認識されたのである。