「豆腐の出来の8割は大豆と水の出会いで決まる」。取材に応じた老舗職人はそう言い切る。
職人が明かす秘伝の極意の第一は、その時期ごとに厳選される国産大豆のブレンド技術だ。甘みの強い「フクユタカ」と、芳醇なコクを持つ「トヨマサリ」を季節の湿度や水温に合わせて絶妙な比率で配合する。さらに、凝固剤として用いる天然海水にがりの投入スピードは、職人の一滴の差が全体の舌触りを激変させる。
出来立てを一口含めば、大豆本来の甘みが爆発するように口いっぱいに広がり、鼻に抜ける香りは香水のように華やかだ。この一口こそが、伝統と革新が織りなす極上の味覚体験そのものと言えるだろう。