ブームの背景には、出版業界とカプセルトイ業界の急速な接近がある。児童書の名門である福音館書店が世に送り出した『いやだいやだの絵本』シリーズは、日本人の原風景ともいえる共通言語だ。その金字塔である『ねないこだれだ』が、いま大人のライフスタイル空間に溶け込んでいる。
少子化に直面する出版界にとって、過去の名作アーカイブを新たなフォーマットで再定義する試みは必然の戦略といえる。一方、カプセルトイ側も「子ども向け玩具」の枠組みをとっくに脱ぎ捨てた。かつて絵本を読んでもらった世代が親となり、あるいは自室のインテリアとしてミニチュアフィギュアを買い求める。幼少期の原体験に裏打ちされたコンテンツの強度は、一過性の流行とは一線を画す。