一方、ウズベキスタン側に広がる南部アラル海の状況は苛烈を極める。干上がった広大な湖底は、今や「アララクム砂漠」と呼ばれる新たな砂漠と化した。干上がった底に残留する農薬や塩分を含んだ有毒な粉塵は、強風に乗って数千キロ先まで飛散する。遠くヒマラヤ山脈の氷河や北極圏の雪原からさえ、アラル海由来の塩分粒子が検出されるほどだ。
2026年現在も、風の強い季節になると周辺集落は真っ白な塩の猛吹雪に包まれる。住民の呼吸器疾患や腎臓病の発症率は周辺地域より著しく高く、公衆衛生上の危機は続いている。消えた湖底から舞い上がる毒の塵は、局所的な環境問題の枠を超え、ユーラシア大陸全体の環境リスクとして立ちはだかる。