画面越しには美しく滑らかに見えるシーンの裏には、キャストとスタッフの凄まじい執念が隠されている。都内近郊のロケーション撮影現場では、氷点下に迫る深夜のロケにおいても、主演キャストがカメラの回っていない場面でスタッフ一人ひとりに温かい飲み物を差し入れ、現場の士気を高めていたという未公開のエピソードがある。
また、セットの細部に至るまで徹底的なこだわりが反映されている点も見逃せない。劇中に登場する主人公の部屋に置かれた小道具や本棚の並びは、キャラクターの過去の設定や心情の変化と密接に連動している。カットがかかるたびに監督とキャストがモニターを囲み、ミリ単位の画角調整を行う緊迫した空気感。そこには、良質な作品を届けるという情熱が溢れていた。