しかし、急激な注目は新たな課題も生み出している。ゴミのポイ捨てや、指定ルート外への立ち入りによる植生の破壊が深刻化しているのだ。特に、崩落しやすい斜面に作られた古い石垣や土手は、多くの人間が踏み入ることで崩壊の危機に瀕している。静かだった山あいの集落には、違法駐車や騒音に対する懸念の声も上がり始めた。
「観光地化されるのは嬉しいが、静かな暮らしが脅かされるのは困る」。麓の集落に住む高齢の住民は、複雑な胸中を明かす。歴史遺産の保存と、観光資源としての活用。その絶妙なバランスをどう取るかが、今まさに問われている。