政治勢力図も歴史的な転換点を迎えています。かつてIRAの政治部門と見なされていた民族派政党「シン・フェイン党」が議会第1党へ躍進し、カトリック系として史上初めてミシェル・オニール氏が自治政府の首相職(First Minister)に就任しました。
さらに人口動態の変化も見逃せません。近年の国勢調査において、北アイルランド開設以来初めてカトリック系住民の人口比率がプロテスタント系を上回りました。この人口逆転と民族派政党の躍進は、将来的な「アイルランド南北統一を問う住民投票(ボーダー・ポール)」の現実味を一気に引き上げています。
ただし、世論調査を見ると「今すぐの南北統一」に対しては、経済的な負担や医療制度(英国のNHS)の喪失を懸念して慎重な姿勢を崩さない中間層も少なくありません。若年層の間では宗派間の対立意識が薄れ、住み分けの象徴だった「平和の壁(分離壁)」の撤去を望む声も強まっています。