医学論文データベース「PubMed」に登録された2026年時点の最新臨床データを分析すると、この病の恐ろしい真実が浮き彫りになる。報告される症例の約8割以上が、20歳未満の女児や若い女性に集中している点だ。
初期症状は極めて曖昧である。軽度の膨満感、食欲不振、なんとなく胃が重いといった程度で、患者本人が髪を食べている事実を家族や医師に隠すケースが圧倒的に多いため、発見が大幅に遅れる。気づいた時には、胃全体を埋め尽くす数百グラムから2キログラムを超える毛髪胃石が成長しているのだ。
胃内視鏡(カメラ)での除去はほぼ不可能に近い。固く巨大化した毛球は内視鏡の処置具では砕けず、無理に引っぱれば食道や胃壁を傷つけて出血を起こす。結果として、全身麻酔下での開腹手術および「胃切開」を選択せざるを得なくなる。重症例では胃壁が穿孔(穴があく)を起こして腹膜炎を発症し、敗血症から死に至った衝撃的なケースも報告されている。一瞬の気の迷いや無意識の癖が、文字通り命がけの大手術へと直結する恐怖がそこにはある。